鬼おろしの代用はフォークが最強|料理人が5パターン実測比較【本物との違いも検証】

包丁・調理器具
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「レシピに鬼おろしって書いてあるけど、持ってない…」
「家にあるもので代用できないかな?」

みぞれ鍋やみぞれ煮のレシピでよく登場する鬼おろし。あのザクザクした粗い大根おろしは、普通のおろし金では出せません。

こんにちは。現役の和食料理人です。「代用できます」と書くだけでは不親切だと思ったので、実際に4つの代用方法を試して、本物の鬼おろしと食べ比べました。時間もストップウォッチで計り、出た水分量まで量っています。

結論から言うと、いちばん鬼おろしに近いのは「フォーク」でした。ただし、意外な事実も見つかりました。本物の鬼おろしが、すべての方法の中でいちばん速かったのです。

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結論|実測データで比較した5つの方法

先に結果をすべてお見せします。大根100gをおろしたときの実測値です。

方法時間出た水分食感
★鬼おろし(本物)37秒大さじ1強シャリシャリ甘い
A フォーク1分38秒大さじ1/2本物に最も近い辛い
B しゃもじ1分20秒大さじ1/2強ざらざら感は近い水っぽい
C 包丁で粗みじん2分30秒0おろしとは別物辛くない
D おろし金(参考)42秒大さじ3ふわふわ甘みと辛みが混在

代用としてのおすすめ順位はA フォーク > B しゃもじ > C 包丁。そして正直にお伝えすると、鬼おろしを使う料理を今後も作るなら、本物を買うのがいちばん早くておいしいという結果でした。理由は記事の後半で詳しくお話しします。

実験の条件|公平に比べるために

大根は部位によって味が変わります。葉に近いほど甘く、先端に近いほど辛いのが特徴です。そこで今回は、条件をそろえるために次のルールで比べました。

  • 同じ大根の、葉に近い部分だけを使う
  • 1回100gずつに切り分ける(全5パターン)
  • おろし終わるまでの時間をストップウォッチで計測
  • 出た水分は大さじで計量

まず基準|本物の鬼おろしはこうだった

比べる相手を知らないと話が始まらないので、まず本物から。

鬼おろしは、竹や木の刃が「鬼の歯」のようにギザギザに並んだおろし器です。この大きな刃で、大根を細かくすりつぶすのではなく粗く削り取るのが特徴です。

使ってみて驚いたのが削れる速さです。ガリガリと引っかかるように削れて、100gがたった37秒。普通のおろし金(42秒)よりも速く終わりました。力もほとんどいりません。

仕上がりはシャリシャリとした粗い粒。そして食べて意外だったのが、はっきりと甘みを感じたことです。

なぜ鬼おろしは辛くならないのか

大根の辛みは、もともと大根の中にあるわけではありません。細胞が壊れたときに、成分同士が反応して生まれます。だから、細かくすりつぶすほど辛くなり、粗く削るほど辛みが出にくいのです。

鬼おろしは大きな刃で削り取るので、細胞が壊れる量が少ない。だから辛みではなく、大根本来の甘みが前に出る——これが「鬼おろしは甘い」と言われる理由です。

弱点もひとつ。刃がかなり粗いので、大根が小さくなってくると削りにくくなります。最後は持ち方を変えるなど、少し工夫が必要でした。

A フォーク|代用でいちばん鬼おろしに近い

ここからが代用編です。まずは、4方法の中でいちばん良かったフォークから。

やり方は簡単で、フォークの先を大根に立てて、手前に引くように削るだけです。

削れたものは粗さがしっかり残って、食感が本物にいちばん近い仕上がりでした。水分も大さじ1/2と少なく、べちゃっとしません。100gで1分38秒。本物の2.6倍の時間はかかりますが、特別な道具なしでここまで近づけるのは十分に実用的です。

ただし、ひとつ不思議な違いがありました。フォークで削ったものは、はっきり辛みを感じたのです。

おそらく、フォークは刃物ではないので、削るときに引きずって細胞を潰しながら剥がしているのだと思います。粗く見えても、細胞レベルでは壊れているということ。食感は本物に近いが、味は辛くなる——これがフォークの正体でした。

辛みを抑えたいときは、おろしてから5〜10分ほど置くと辛み成分が飛んで穏やかになります。覚えておくと便利です。

B しゃもじ|粗さは近いが、味が水っぽい

次はしゃもじ。使ったのはご飯がつきにくい「突起(ドット)」がついた面です。この突起がおろし器の刃の代わりになります。

削れた見た目はざらざらとした粗さがあって、鬼おろしに近い雰囲気。時間も1分20秒で、フォークより少し速く終わりました。

ところが、食べてみると味が水っぽい。見た目は良いのに、大根の味が薄く感じられました。水分量もフォークより多めでした。

もうひとつの欠点は、大根が小さくなると削りにくくなること。突起が浅いので引っかからず、最後は削り切れずに大根の塊が残ってしまいました。

「フォークが見つからないときの次善策」という位置づけです。

C 包丁で粗みじん|これは別の料理になる

料理人らしい方法も試しました。包丁で細かく刻んで、刃の腹で叩くやり方です。

結果はというと、正直に言って「おろし」とは別物でした。どこまで細かく刻んでも、粒が角ばったサイコロ状のまま。おろし特有の、繊維がほぐれてとろみが出る感じがまったく出ません

時間も2分30秒と最長。水分はまったく出ず(大さじ0)、味も辛くありませんでした。細胞をほとんど壊さず「切っている」だけなので、当然の結果です。

ただ、これは失敗ではなく使い道が違うだけです。水分が出ないので、和え物や薬味、炒めものの具材としてはむしろ優秀。「みぞれ」を求めるなら不向き、と覚えてください。

なお、この作業は切れる包丁でないと余計に時間がかかります。包丁選びは三徳包丁の選び方でも解説しています。

D おろし金|水分量は鬼おろしの3倍近い

比較の参考として、ふだんの大根おろし(おろし金)も同じ条件で試しました。

仕上がりは、いつもどおりふわふわの大根おろし。時間は42秒と速いです。味は甘みと辛みが入り混じった、なじみのある大根おろしの味でした。

注目してほしいのは水分量です。大さじ3。鬼おろし(大さじ1強)の3倍近く出ました。

この差が、そのまま料理の仕上がりの差になります。みぞれ鍋やみぞれ煮でおろし金を使うと、水分で味が薄まって水っぽくなる。鬼おろしが「みぞれ料理の道具」とされる理由が、数字ではっきり見えました。

5つを並べて比べてみると

すべて同じ量(100g)なのに、見た目がここまで違います。

写真の配置は、左上がフォーク、中央上が鬼おろし、右上が包丁、左下がおろし金、右下がしゃもじです。右上の包丁だけが粒が角ばっていて、明らかに質感が違うのがわかります。

こうして並べると、鬼おろしとフォークの質感が近いこと、おろし金だけが細かくふわふわしていることが、ひと目で見て取れます。

鬼おろしでみぞれ鍋を作ってみた

実験のあと、本物の鬼おろしでおろした大根でみぞれ鍋を作りました。

食べてはっきりわかったことが2つあります。

  • 大根の生臭さがまったくない:大根おろしは、細かくおろすと独特の青くさい香りが出ることがあります。粗い鬼おろしではそれを感じませんでした
  • 煮込んでも食感が残る:粒が大きいので、汁の中でも溶けずにシャリシャリ感が生きています。これが「みぞれ」の醍醐味です

私が鬼おろしを「食感を出したいときの道具」と考えているのは、まさにこの点です。おろし金の大根おろしは汁に溶け込んでしまいますが、鬼おろしは最後まで具材として残ってくれるのです。

結局、代用すべきか買うべきか

今回の実験をふまえた、正直な結論です。

代用でいい人

  • 今日のレシピに1回だけ必要な人 → フォークで十分です。食感はしっかり近づきます
  • 鬼おろしを使う料理を、年に数回しか作らない人

買ったほうがいい人

  • みぞれ鍋・みぞれ煮を定期的に作る
  • 時短を重視する人 → 37秒対1分38秒。代用より本物のほうが1分も速いという事実は無視できません
  • 大根の甘みを活かしたい人 → フォークでは辛みが出てしまいます。甘みは本物でしか出ませんでした

「代用でなんとかなる道具」と「買ったほうが早い道具」があります。鬼おろしは、意外にも後者でした。決して高価な道具ではないので、使う機会があるなら手元に置く価値は十分にあります。

鬼おろしの選び方

私が使っているものは合羽橋(かっぱ橋道具街)で買った竹製のもので、メーカー名がわかりません。ですので同じ商品をご紹介できないのですが、竹製で刃が大きく並んだタイプであれば、この記事と同じような仕上がりになります。ネットでも手に入りますので、選ぶときの参考にしてください。

  • 選ぶポイント: 竹製または木製/受け皿や器に安定して掛けられる形/刃が大きく粗いもの

よくある質問(FAQ)

Q. 鬼おろしの代用でいちばん簡単なのはどれですか?

A. フォークです。どの家庭にもあり、食感がいちばん本物に近づきました。フォークの先を立てて、手前に引くように削ってください。

Q. 代用すると辛くなってしまいます。どうすれば?

A. 大根の辛みは細胞が壊れることで生まれるので、代用品では出やすくなります。対策は2つ。①葉に近い部分を使う(先端より甘い)、②おろしてから5〜10分置く(辛み成分が飛びます)。

Q. フードプロセッサーやミキサーでもできますか?

A. 今回は試していないので断言は避けますが、刃で細かく切り刻む構造なので「粗く削る」鬼おろしとは仕上がりが変わると考えられます。機械の使い分けについてはミキサーとフードプロセッサーの違いで解説しています。

Q. 鬼おろしのお手入れは大変ですか?

A. 竹製・木製なので、使ったらすぐ洗って、しっかり乾かすのが基本です。刃の間に繊維が残りやすいので、流水とブラシで流してください。食洗機や乾燥機はNG(反りや割れの原因になります)。

まとめ|代用はフォーク、でも本物が最速だった

最後に、今日の結果をおさらいします。

  • 代用のおすすめはフォーク。食感がいちばん本物に近い(1分38秒・水分大さじ1/2)
  • しゃもじは見た目は近いが味が水っぽい。突起のある面を使う
  • 包丁の粗みじんはおろしとは別物。ただし和え物や薬味には向く
  • おろし金は水分が大さじ3と多く、みぞれ料理には不向き
  • 本物の鬼おろしは37秒で最速。しかも辛みが出ず甘い
  • 粗く削ると辛みが出にくく、煮ても食感が残る。これが鬼おろしの価値

「代用できるか?」の答えは「できる。フォークで十分近づける」。そのうえで「よく作るなら買ったほうが速い」——これが5パターンを実際に試した料理人の正直な結論です。

道具の代用については裏ごし器がなくても大丈夫!家にあるもので代用する方法でも解説しています。また、毎日の調理をラクにしてくれる道具は時短料理に役立つ調理道具まとめで紹介しています。あわせてご覧ください。

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